演奏会の見どころ、聴きどころ


2003プログラム


演奏会1 魅惑のディーヴァ
アイザックスターンホールを満たす、キャスリーン・バトルのソプラノ。

 今回の音楽祭は、豪華なリリック・ソプラノの歌声で幕を開けます。世界の主要な歌劇場に登場し、カラヤンやムーティ、小澤征爾らとの共演、5回のグラミー賞や最優秀オペラ賞の受賞など枚挙にいとまがないキャスリーン・バトルと選りすぐりの演奏家たちによる合奏団との共演に期待が高まります。これまでの音楽会では実現しなかった、声楽という新たな彩りを、是非ご自身で体験してください。

○ポイント
あなたの目の前で、キャスリーン・バトルと合奏団とが、互いにコンタクトしながら豪華な響きを作り上げてゆきます。一体となって紡がれてゆく珠玉の音楽は、きっと忘れられない体験になるでしょう。

演奏会2 華麗なるアンサンブル
世界的ヴァイオリニストとチェリストによるマチネー

 ピンカス・ズーカーマンのヴァイオリンと指揮、ジャン・ワンのチェロ、重厚な響きの交響曲と、様々な演奏を楽しむことができるプログラムになっています。モーツァルトの『セレナード 第6番「セレナータ・ノットゥルナ」』は、室内の祝宴において演奏されることを目的として作曲されたものであると言われています。ハイドンの『チェロ協奏曲 第2番』は、ハイドンの傑作中の傑作といわれていますが、演奏には極めて高度な技巧が要求されます。特に第3楽章の早いパッセージや極端な音の跳躍に対する演奏が見どころでもあります。ポッケリーニの『チェロ協奏曲』は、第1楽章から第3楽章まで、明るい主題や憂いに満ちた調べが交錯する、聴きどころの多い曲です。ハイドンの『交響曲第101番「時計」』は、第2楽章の主題と変奏のリズムが“時計の振り子の刻み”を思わせるところから“副題”として付けられたものです。

○ポイント
昨年の演奏会で好評を博したジャン・ワンのチェロが再び蘇ります。情感に満ちたチェロの音色とズーカーマンのヴァイオリンの調べを堪能してください。

演奏会3 ズーカーマン、至高の室内楽
贅沢なメンバーによるシューベルト&モーツァルト

 シューベルトの『ヴァイオリン ソナティナ 第1番〜第3番』は、1816年の作です。冒頭部分でヴァイオリンとピアノが短い主題をユニゾンで奏でる第1番が最も有名で、演奏される機会も多い曲です。第2番はハ長調の親しみやすい曲想とともに演奏技巧も比較的容易であることから、初心者の演奏プログラムに取り上げられることが多い曲です。第3番は、ベートーヴェン的な力強さを有しており、シューベルトの器楽曲のなかでも力作のひとつです。
 モーツァルトの『弦楽五重奏曲 第4番』は、モーツァルトの室内楽の中でも最高傑作のひとつに位置付けられている作品で、第1楽章の冒頭では、モーツァルトが人生に対して抱いていた深い哀惜感を告白するかのように「ため息」のモティーフを含んだ主題が展開されています。

○ポイント
シューベルトの作曲した3つのソナティナが、ズーカーマンによって全曲演奏されます。ズーカーマンが信頼を置くピアニスト、タチアナ・ゴンチャローヴァとの演奏は、非常に完成度の高いものになることでしょう。

演奏会4 ジュリアード・カルテット、室内楽の深遠
世界最高峰の室内楽を、最高のレパートリーで

 ベートーヴェンの『弦楽五重奏曲 ハ長調』は、第1楽章の途中で短調に転調し、当初の主題の明るさを引き立たせるところなど、ベートーヴェンの書法の妙が感じられます。第2楽章は、ファースト・ヴァイオリンが表情豊かに歌い紡ぎます。ジュリアード弦楽四重奏団にとって、ベートーヴェンは最高のレパートリーであり、その演奏には期待が高まります。
 また、シェーンベルクの『浄夜』は、ドイツ叙情派の詩人デーメルの詩に曲想を得て創作した作品で、月の美しい夜に散策する男女の対話と、彼らが物静かに歩みを進める姿を描いています。旋律のからみあいが美しい、ロマンティックな作品です。

○ポイント
1つの楽器が1つのパートを受け持つ室内楽では、それぞれの奏者が一体となって演奏することが非常に重要です。楽器ひとつひとつの音色が明暸に聞こえ、会場と奏者がひとつになれる室内楽の醍醐味を、この演奏会で存分に味わってください。

演奏会5 ヴィルトゥオーゾの饗宴
巨匠たちの演奏によるフィナーレ

 バッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲』は、この音楽祭ではお馴染みの曲です。今回はズーカーマンと徳永ニ男でお贈りします。この曲は、ファーストとセカンドの両ヴァイオリンが、交互に華麗な名人芸を披露できるように工夫されています。
 サン=サーンスの『チェロ協奏曲 第1番』は、1873年にパリで作曲され、チェロという楽器の性格や性能を余すところなく生かしている点で、多くのチェリストから支持されています。曲の構成が特徴的で、単独章で3部に分かれており、第1部の独奏チェロの奏でる主題は流麗で、スプリング・ソナタの冒頭部分にも似た軽やかさを感じさせます。サン=サーンスらしい、機知と軽妙さにあふれた作品です。
 シューベルトの『交響曲 第3番』は、1815年の作です。シューベルトの交響曲の中では最も小規模なものですが、ハイドンやモーツァルトの影響が色濃かったそれまでの作品に比べて、楽器の使い方に変化が見られ、作品としての密度が高まっています。

○ポイント
 ズーカーマン、徳永ニ男、リン・ハレルに加えて、国内トップアーティストによる合奏団という、音楽祭のフィナーレを締めくくるに相応しいメンバーが出演します。協奏曲での奏者同士のセッションや、交響曲での豊かな響きなど、クラシックの魅力満載のコンサートです。


スペシャルプログラム

ジャン・ワン チェロリサイタル
琴線に触れるチェロの響き

 昨年の音楽祭の最終日、ジャン・ワンが演奏した「ニ泉映月」の哀愁に満ちた旋律は、聴衆に深い感動を残しました。今回はパートナーにピアニストの鷲宮美幸を迎えて、彼のチェロの魅力をたっぷり味わえるコンサートを開催します。



徳永ニ男&高木綾子ジョイントリサイタル
ヴァイオリンとフルートの夕べ

 日本を代表するヴァイオリニスト徳永ニ男と、実力と幅広い音楽性を兼ね備えたフルーティストとして人気の高い高木綾子によるコンサートです。会場は、えびの市文化センターです。特に、お近くの方には是非足を運んでいただきたいと思います。
ジュリアード弦楽四重奏団演奏会
世界的に活躍するカルテットの妙技

 1946年、ジュリアード音楽院の校長であった作曲家ウィリアム・シューマンの提唱により創設されたジュリアード弦楽四重奏団。偉大なる伝統を受け継ぐ名手達が、日向市文化交流センターでその演奏を披露します。なかでもベートーヴェンの弦楽四重奏は、彼らの最高のレパートリーです。

「絵と音楽」〜日本画家、立山周平と西洋音楽のコラボレーション〜
絵画と音楽の融合を目指して

 今年の音楽祭の中で、最注目のコンサートです。ラヴェル、コダーイ、チャイコフスキー。この3曲をテーマに、宮崎在住の日本画家である立山周平氏がイメージした絵をステージに掲げ、その絵の前でこれらの曲が演奏されます。現在、絵画は制作進行中ですが、全く異なる2つの芸術を融合させようというアプローチがステージ上でどのように結実するのか、期待が高まります。これまでにない試みのコンサートに是非ご期待ください。

トップメンバーによるブラス・アンサンブル野外コンサート
花に囲まれた屋外で、さわやかな音楽会

 音楽祭のスペシャルプログラムとしてすっかりお馴染みとなったこのコンサート。今回は、会場をフローランテ宮崎に移し、花と緑に囲まれた、さわやかな音楽会を盛大にお届けします。国内の管楽器のトップメンバーによるブラスの響きに、心ゆくまで耳を傾けてください。なお、このコンサートは無料でお楽しみいただけますが、フローランテ宮崎への入場料300円(小中学生150円)が必要です。ご家族、ご友人と一緒にお越しください。





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