ひろがる響き、感動の時間

音楽祭の総合プロデューサーである、ヴァイオリニスト徳永二男さんにお話を伺いました。


徳永二男さん 宮崎国際室内楽音楽祭も第3回目を迎えますが、今回はどういう音楽祭になるでしょうか。
前2回に比べて、出演メンバーが50人くらいと随分増えたり、ハープをはじめとして出てくる楽器が増えたり、また随分華やかさが増えたんじゃないかと思います。
また、前回までは、ソリスト中心に室内楽を演奏してきたんですが、今回は、東京クヮルテットという世界の5本指に入る弦楽四重奏団が参加します。
例えば演奏会[1]のメンデルスゾーンの八重奏曲変ホ長調ですが、東京クヮルテットに、ヴァイオリンは加藤知子さん、竹澤恭子さん、ヴィオラは豊嶋泰嗣さん、チェロが上村昇さんというアンサンブルでお送りしますが、こんな豪華なアンサンブルは、この音楽祭でなければ絶対聴けない曲目と演奏者だと思います。
室内楽のお好きな人にとっては、大変聴き応えのあるプログラムではないでしょうか。

それでは、まず、コンサートホールで行われる演奏会[1]〜[5]についてそれぞれ聴きどころや特徴について御紹介いただけないでしょうか。
演奏会[1]は、先程も少し触れましたが、世界屈指の弦楽四重奏団である東京クヮルテットと世界トップクラスのソリスト達の競演が見どころです。
東京クヮルテットは世界各地で年間120回以上の公演を行っているくらい人気の高いクヮルテットですが、このような形での演奏会というのは、まず他ではありえないでしょうね。
演奏会[2]はより大きな室内楽ということで、シュポアの九重奏曲、R.シュトラウスの「ティル=オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」などの名曲が勢揃いしています。
演奏会[3]は、東京クヮルテットを主体にハープ、ピアノが登場します。
ハープというのは、なかなかお聴きになる機会がないと思いますし、演奏者の吉野直子さんはハーピストとして世界的に有名な方ですので、非常に聴き応えがあろうかと思います。
演奏会[4]と[5]については、[1]〜[3]と異なり、ソリストと室内合奏団の競演になります。
この室内合奏団には、普通だったらソリストとして演奏されるような方々が出ています。まず他の演奏会などでは見られない光景でしょうね。非常に豪華な、「宮崎だけ」の構成だと思います。
また、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の3番、4番、5番をそれぞれ竹澤恭子さん、渡辺玲子さん、アン・アキコ・マイヤースさんといういずれもすごい女性ヴァイオリニストがソリストとして演奏しますが、それぞれの演奏を聴き比べてみるという楽しみ方もあると思います。

コンサートホールでの演奏会以外でも、スペシャルプログラムとして3つの演奏会が今回新たに企画されていますね。
このプログラムをプロデユースした理由は、まず地元の方に、超一流の演奏を聴いていただく機会を増やしたかったということがあります。
また、プログラムの日程も5月14日から22日の間は、毎日なにか必ず演奏会などが開催されているよう設定していますので、音楽祭に県外からお越しになるお客様にも滞在期間中に音楽を満喫いただけるはずで、より「音楽祭」らしい形に近づいてきたんじゃないかな、と考えています。
内容につきましては、まず、さきほど申し上げました「東京クヮルテット」の演奏会を演劇ホールで開催します。そしてアン・アキコ・マイヤースさんのヴァイオリンリサイタルについては、芸術劇場から県内各地への展開を目指して、門川町総合文化会館で開催します。内容的には親子で楽しめるような、おしゃべりも交えたリサイタルを予定しています。
それから、トップメンバーによるブラス・アンサンブルコンサートをシーガイアの多目的広場で開催しますが、野外での演奏会というのも今回初めての試みです。
このコンサートでは、地元のグループにも出演していただき、リハーサルの際にプロの指導も受けられるという企画も考えています。
新緑と青空が美しい季節ですから、きっと素晴しいものになると思います。

今回の音楽祭の特色として教育プログラムも非常に充実しているようですが。
前回までは、「講習会」はスターンさんが指導される公開レッスンだけだったわけですが、今回から「室内楽講習会」として5/8(金)〜22日(金)までの約2週間の期間、スターンさんをはじめとする、世界トップレベルの演奏家達が、プロとして一歩を踏み出し始めたばかりの若手演奏家に対してレッスンを行うことになりました。
まず、若手クヮルテットではクヮルテット「エクセルシオ」、クヮルテット「Arco(アルコ)」が東京クヮルテットの講習を受けることになります。
彼等新進気鋭のクヮルテットがあの東京クヮルテットの指導を受けるというんで、張り切っちゃって、毎日毎晩練習してますよ。(笑)
そして、ヴァイオリン等については、日本から2人、韓国から2人、中国から2人というように前回と比べ、アジア諸国からの受講生がかなり増加しており、これらソリストとして将来を期待されている若手演奏家達に、より音楽的なレッスンが行われる予定です。

最後に、ますます広がりを見せている宮崎国際室内楽音楽祭ですが、将来の展開などについてお伺いしたいのですが。
今後よりアジアに向けた展開・方向性をはっきりさせていきたいな、と考えています。特に教育プログラムについてですが、将来性豊かなアジアの若手演奏家が、ここ宮崎で音楽祭の期間中、世界トップレベルの指導が受けられ、いい勉強ができる場にしていきたいと考えているところです。
また、音楽祭としても、国内ではとっても有名になりましたが、今後、アジアを代表するような音楽祭に、そして世界的に有名な音楽祭となり、皆がこの音楽祭に参加したいというような音楽祭に育てていくためにいろいろな試みを行っていきたいなと思います。


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